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社会見学と言う名の・・・


「月森――」

「あっ、氷室先生。なんですか?」

「コホン。……今度の日曜は、空いてるか?」

「日曜、ですか?空いてますけど……」

「それでは、ドライブに行かないか?」

「…………」

「…………」

「いいですけど……それって、デート、ですか?」

「なっ!デートではない。社会見学だ!」

「…………」

「…………」

「いいですね、ドライブ。行きます!」

「そうか。では、今度の日曜に……」

「どこに行けばいいですか?」

「家で待っていなさい」

「はい」



――生徒を、誘ってしまった。

社会見学?

ふたりきりでの社会見学などありえるのか?

しかもドライブに。

……しかし、誘ってしまったものは仕方ないだろう。

日曜日、か――。



       ◇◇◇



「はぁ……」



とうとうこの日が来てしまった。

デート――いや、社会見学だ。

あくまでも、社会見学だ。

教師と生徒がデートなど……。



「……そろそろ出掛けるか」



       ◇◇◇



「氷室先生!おはようございます!」



月森が手を振って待っていた。

清楚な感じ――だな。

……な、なにを考えてるんだ、俺は。



「時間通りだな。よろしい。では、車に乗りなさい」

「…………」

「どうした?」

「……先生とふたりきり。なんか、ドキドキしちゃいますね。デート、みたい」

「なっ、何を言っているんだ!これは社会見学だ!」



そうだ、社会見学だ。

決してデートではない!

……俺までなにを緊張しているんだ。



「先生?行きましょう?」

「そう、だな」



ペースが、乱される。

彼女のペースに、まきこまれる。

だが、それも――悪くは、ない…かもな。



       ◇◇◇



「はぁ〜、楽しかったな〜。ねっ、先生」

「あぁ」

「先生、あの……レポートって書くんですか?」

「レポート?」

「今回の、社会見学のレポート」



レポート――書かせるべきなのだろうか。

『社会見学』

社会見学なら書かせるべきだ。



「君は、書きたいか?」

「えっ?」



なにを聞いているんだ……。



「いや、なんでもない。そうだな……書いてもらおう」

「わかりました。頑張って書きますね」

「楽しみにしている」

「はいっ!」

「もう遅い。送っていこう」



       ◇◇◇



「先生ってスゴイですよね。休みの日まで生徒の為に社会見学するなんて」

「別に、凄くなどない」



凄いことなどでは、ない。



「ん!?」

「あ、れ?」



――ガタンッ。



「……車、止まっちゃいました、ね。」

「様子を見てくる。待っていなさい」



故障か?

こんな時に……。



「どうやら故障したようだ。すまないが、修理がくるまで時間がかかる」

「そうですか……」



修理がくるまでのあいだ、どうすればいいんだ。



「くしゅんっ」

「寒いか?」

「あっ……はい。ちょっと」



このまま暖房のきかない車内に居ては、彼女に風邪をひかせてしまう。

日曜に生徒を連れだし、そのせいで風邪までひかせるわけにはいかない。

しかたない――。



「この近くに知り合いの店がある。そこで待とう」


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