「月森――」 「あっ、氷室先生。なんですか?」 「コホン。……今度の日曜は、空いてるか?」 「日曜、ですか?空いてますけど……」 「それでは、ドライブに行かないか?」 「…………」 「…………」 「いいですけど……それって、デート、ですか?」 「なっ!デートではない。社会見学だ!」 「…………」 「…………」 「いいですね、ドライブ。行きます!」 「そうか。では、今度の日曜に……」 「どこに行けばいいですか?」 「家で待っていなさい」 「はい」
社会見学? ふたりきりでの社会見学などありえるのか? しかもドライブに。 ……しかし、誘ってしまったものは仕方ないだろう。 日曜日、か――。
デート――いや、社会見学だ。 あくまでも、社会見学だ。 教師と生徒がデートなど……。
清楚な感じ――だな。 ……な、なにを考えてるんだ、俺は。
「…………」 「どうした?」 「……先生とふたりきり。なんか、ドキドキしちゃいますね。デート、みたい」 「なっ、何を言っているんだ!これは社会見学だ!」
決してデートではない! ……俺までなにを緊張しているんだ。
「そう、だな」
彼女のペースに、まきこまれる。 だが、それも――悪くは、ない…かもな。
「あぁ」 「先生、あの……レポートって書くんですか?」 「レポート?」 「今回の、社会見学のレポート」
『社会見学』 社会見学なら書かせるべきだ。
「えっ?」
「わかりました。頑張って書きますね」 「楽しみにしている」 「はいっ!」 「もう遅い。送っていこう」
「別に、凄くなどない」
「あ、れ?」
「様子を見てくる。待っていなさい」
こんな時に……。
「そうですか……」
「寒いか?」 「あっ……はい。ちょっと」
日曜に生徒を連れだし、そのせいで風邪までひかせるわけにはいかない。 しかたない――。
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